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父母恩重経より

 介護の世界の根幹を揺るがすような事件が発生した。川崎で起きた有料老人ホームでの殺人事件。介護士の男性が利用者を転落させた事件。ありうべからずのことで、コメントもない。
 その余波?ともいうことが、最近身近におきている。和泉市に在住の知人の70代の女性から、「これから介護を考えてるが、どんな施設が良いの?また、どんなヘルパーさんを頼んだら良いの?」と言ったご相談である。聞けば、「昨今の介護の世界から聞こえてくるニュースに、大丈夫かと心配する事が多すぎるから」と言われた。ありふれた回答しかできないが、施設の場合などは、ご家族など信頼している方と一緒に見学したり、何度となく体験を行い、しっかりと見極めてから判断すれば良い。また、在宅でヘルパーを希望される場合も同じ、信頼する事業所を見つけること。そのためには、良いケアマネージャーを捜し、ケアマネージャーの推薦する事業所を紹介してもらうこと。ただ、ヘルパーさんとは人と人との関係があり、相性もあるので、懸念されることがあれば遠慮なくケアマネージャーに連絡し代えてもらうこと。等伝えた。

 話がかわるが、昨今愛読書である司馬遼太郎の作品を読み返している。
 短編全集の中で「長安の夕映え:父母恩重経ものがたり」と題された短編がある。仏教の教えの父母恩重経を題材にした司馬氏の初期(昭和27年)の作品。父母恩重経とは、紀元600年ごろの唐の時代の経典の中にもあり、日本には奈良時代に渡来したと言われ正倉院にも収められている。
 要約すると、父母の恩には十種の恩徳があるという。子を産み育て慈しみ守り、ひたすら子の成長を祈り父母はどんなに老いさらばえようとも、ひたすら子を大切に、大事に育て守っている。父母は皆その様な者で、子は父母の恩徳を感謝し決して忘れてはならぬという。しかるに、現在も同様、子が成長するとともに親をうとんじて遠ざかる。敢えて頼みごとをすれば「老いぼれて生きるよりも早く死んだ方がよい」とまで罵る。嫁をもらえば嫁の言いなりになり、嫁と一緒になって親に逆らい親の言うことに憤る。現代の話ではない。1500年以前いやそれよりもはるか昔の話であるが、今の世にも通じる話ではないだろうか。
次に十種の恩徳とは何かを次に記す。

懐胎守護(かいたいしゅご)の恩
 始めて子を体内に受けてから十ヶ月の間、苦悩の休む時がないために、他の何もほしがる心も生まれず、ただ一心に安産がで きることを思うのみである。
臨生受苦(りんしょうじゅく)の恩
 出産時には、陣痛による苦しみは耐え難いものである。父も心配から身や心がおののき恐れ、祖父母や親族の人々も皆心を  痛めて母と子の身を案ずるのである。
生子忘憂(しょうしぼうゆう)の恩
 出産後は、父母の喜びは限りない。それまでの苦しみを忘れ、母は、子が声をあげて泣き出したときに、自分もはじめて生まれ てきたような喜びに染まるのである。
乳哺養育(にゅうほよういく)の恩
 花のような顔色だった母親が、子供に乳をやり、育てる中で数年間で憔悴しきってしまう。
廻乾就湿(かいかんじつしつ)の恩
 水のような霜の夜も、氷のような雪の暁にも、乾いた所に子を寝かせ、湿った所に自ら寝る。
洗灌不浄(せんかんふじょう)の恩
 子がふところや衣服に尿するも、自らの手にて洗いすすぎ、臭穢をいとわない。
嚥苦吐甘(えんくとかん)の恩
 親は不味いものを食べ、美味しいものは子に食べさせる。
為造悪業(いぞうあくごう)の恩
 子供のためには、止むを得ず、悪業をし、悪しきところに落ちるのも甘んじる。
遠行憶念(おんぎょうおくねん)の恩
 子供が遠くへ行ったら、帰ってくるまで四六時中心配する。
究竟憐愍(くつきょうれんみん)の恩
 自分が生きている間は、この苦しみを一身に引き受けようとし、死後も、子を護りたいと願う。

 月並みな言葉しかないが「いつの世も同じ。」とつくづく感じる。

 自分自身を省みても、一人で大きくなったような気でいたことも確かである。その陰には、父母の言葉に尽きない大きな愛情を受けて育てられたのだと今更ながら思う。少し泣けそうになった。

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プロフィール

【名前】
おっちゃんヘルパー
【年齢】
65歳
【一言】
≪絆≫を大事に。
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